2026.09.28

# 共有持分

遺産分割協議書の共有持分の記載例|土地・建物・マンション別のひな形と書き方 

「相続した不動産を兄弟で分けることになったが、遺産分割協議書に共有持分をどう書けばいいのか分からない」「持分2分の1と書くのか、金額を書くのか迷う」遺産分割協議書での不動産の記載、とくに共有持分の書き方は、多くの方がつまずくポイントです。書き方を誤ると、法務局での相続登記が受け付けられず、やり直し(補正)になってしまうこともあります。この記事では、共有持分の記載例(ひな形)を土地・建物・マンション別に示しながら、書き方の基本と注意点、協議書ができたあとの相続登記まで、法務省・法務局・国税庁の一次情報をもとに解説します。

この記事の要点

  • 遺産分割協議書は相続人全員の合意で作成する書類。共有持分は「持分〇分の〇」と分数で書く

  • 不動産は登記事項証明書(登記記録)の表示どおりに。土地・建物・マンションで記載する項目が異なる

  • 1つの不動産を複数人で共有取得する場合は、誰が・何分の何を取得するかを全員分書き、持分の合計が「1」になるようにする

  • 被相続人がすでに持っていた「共有持分」を相続する場合は、「被相続人が有していた持分(〇分の〇)を取得する」と特定して書く

  • 協議書ができたら相続登記へ。遺産分割で取得した不動産は遺産分割の日から3年以内の登記が義務(怠ると10万円以下の過料)

遺産分割協議書に共有持分を書く前に|基本の考え方

具体的な記載例に入る前に、混同しやすい「持分の書き方」と「不動産の書き方」の基本を整理します。ここを押さえておくと、あとの記載例が理解しやすくなります。

遺産分割協議書とは(相続人全員の合意が必要)

遺産分割協議書は、相続人全員による話し合い(遺産分割協議)の結果を書面にまとめたものです。民法では、共同相続人はいつでも協議で遺産の全部または一部を分割できると定められています(民法907条1項)。この協議には相続人全員が参加する必要があり、一部の相続人を除外してなされた協議は効力を生じません。作成した協議書には相続人全員が署名し、実印を押したうえで各自の印鑑証明書を添付するのが一般的です(相続登記で法務局に提出する際に必要になります)。

参照:民法(e-Gov法令検索) / 法務局 不動産登記の申請書様式について

共有持分は「持分〇分の〇」と分数で書く

不動産の共有持分は、「2分の1」「3分の1」のように分数(割合)で表します。金額(〇〇円分)ではなく、所有権の割合を分数で記載するのが基本です。1つの不動産を複数の相続人で共有取得する場合は、それぞれの持分の合計が「1」になるように書きます(例:長男2分の1・二男2分の1で合計1)。

不動産は「登記事項証明書どおり」に書く

遺産分割協議書に不動産を書くときは、固定資産税の納税通知書にある住所(住居表示)ではなく、法務局で取得できる登記事項証明書(登記記録)の表示をそのまま転記します。記載する項目は不動産の種類によって次のように異なります。

  • 土地:所在・地番・地目・地積

  • 建物:所在・家屋番号・種類・構造・床面積

  • マンション(敷地権付き区分建物):一棟の建物の表示+専有部分の建物の表示+敷地権の表示

所在・地番・家屋番号などを誤記すると、相続登記の申請が却下・取り下げになり、やり直しになることがあります。必ず登記事項証明書を取得して確認しましょう。

参照:法務局 不動産登記の申請書様式について

【ケース別】遺産分割協議書 共有持分の記載例(ひな形)

ここからは、共有持分を含む遺産分割協議書の記載例(ひな形)をケース別に示します。実際に作成するときは、「〇〇」の部分をご自身の登記事項証明書の内容に置き換えてください。

記載例①|1つの不動産を複数の相続人が共有で取得する

被相続人が単独で所有していた土地・建物を、長男と二男が2分の1ずつ共有で相続するケースです。

遺産分割協議書


被相続人 ○○○○(令和○年○月○日死亡)

最後の本籍 ○○県○○市○○町○丁目○番

最後の住所 ○○県○○市○○町○丁目○番○号


被相続人○○○○の遺産について、共同相続人全員で協議した結果、

次のとおり分割することに合意した。


1.次の不動産は、相続人 長男○○○○ が持分2分の1、

  相続人 二男○○○○ が持分2分の1 の割合で共有取得する。


 【土地】

  所 在 ○○市○○町○丁目

  地 番 ○番○

  地 目 宅地

  地 積 ○○○・○○平方メートル


 【建物】

  所 在 ○○市○○町○丁目○番地○

  家屋番号 ○番○

  種 類 居宅

  構 造 木造かわらぶき2階建

  床面積 1階 ○○・○○平方メートル

      2階 ○○・○○平方メートル


以上のとおり協議が成立したので、本協議書を作成し、

相続人全員が署名押印のうえ、各自1通ずつ保有する。


令和○年○月○日


相続人(長男)住所       氏名       印

相続人(二男)住所       氏名       印

記載例②|被相続人の「共有持分」を1人が取得する(持分の全部)

被相続人がその不動産をもともと他の人と共有していて、持分の一部(例:2分の1)だけを持っていたケースです。この場合は、「被相続人が有していた持分すべて」を相続人が取得する形で書きます(登記実務でいう「持分全部移転」にあたります)。

例:被相続人が持分2分の1を所有していた土地を、妻がその持分全部を相続する。

1.次の不動産のうち、被相続人○○○○が有していた

  持分2分の1は、相続人 妻○○○○ が取得する。


 【土地】

  所 在 ○○市○○町○丁目

  地 番 ○番○

  地 目 宅地

  地 積 ○○○・○○平方メートル

  (被相続人の持分 2分の1)

ポイント: 登記記録に載っている被相続人の持分(例:2分の1)を確認し、「被相続人が有していた持分〇分の〇」と特定して書きます。相続人が1人でその持分を全部引き継ぐ形です。

記載例③|被相続人の共有持分を複数の相続人で分けて取得する

被相続人が持っていた共有持分(例:2分の1)を、さらに複数の相続人で分け合うケースです。被相続人の持分を基準に、各相続人の取得持分を計算して書きます。

例:被相続人の持分2分の1を、長男と二男で半分ずつ(=それぞれ4分の1ずつ)取得する。

1.次の不動産のうち、被相続人○○○○が有していた

  持分2分の1については、相続人 長男○○○○ が持分4分の1、

  相続人 二男○○○○ が持分4分の1 の割合で取得する。


 【土地】

  所 在 ○○市○○町○丁目

  地 番 ○番○

  地 目 宅地

  地 積 ○○○・○○平方メートル

ポイント: 被相続人の持分2分の1を2人で等分すると、それぞれの取得持分は「4分の1」です(2分の1 × 2分の1 = 4分の1)。持分は不動産全体に対する分数で書く点に注意しましょう。

記載例④|マンション(敷地権付き)の共有持分

分譲マンションなど「敷地権付きの区分建物」は、土地と建物が一体になっているため、記載項目が多くなります。登記事項証明書の「一棟の建物の表示」「専有部分の建物の表示」「敷地権の表示」をそのまま転記します。

1.次の不動産は、相続人 長女○○○○ が持分2分の1、

  相続人 二女○○○○ が持分2分の1 の割合で共有取得する。


 【区分建物】

 一棟の建物の表示

  所 在 ○○市○○町○丁目○番地○

  建物の名称 ○○マンション

 専有部分の建物の表示

  家屋番号 ○○町○丁目○番○の○○○

  建物の名称 ○○○

  種 類 居宅

  構 造 鉄筋コンクリート造1階建

  床面積 ○階部分 ○○・○○平方メートル

 敷地権の表示

  符 号 1

  所在及び地番 ○○市○○町○丁目○番○

  地 目 宅地

  地 積 ○○○・○○平方メートル

  敷地権の種類 所有権

  敷地権の割合 ○○○○分の○○○

注意: マンションは敷地が複数あるなど記載が複雑になる場合があります。登記事項証明書と照らして正確に転記し、不明な点は司法書士に確認しましょう。

記載例⑤|「持分2分の1」など分数の書き方

共有持分は分数で書きますが、いくつか書き方の慣行があります。

  • 各相続人の取得持分を明記する:「相続人○○が持分2分の1を取得する」のように書く

  • 不動産の表示の末尾に持分を併記する:登記記録に合わせ、「此持分2分の1」のように不動産ごとに書き添える方法(「此(この)持分」は登記実務で使われる表現です)

  • 合計が「1」になるか確認する:長男2分の1+二男2分の1=1、のように持分の合計をチェックする

どの書き方でも、「誰が」「どの不動産の」「どれだけの割合を」取得するのかが一義的に読み取れれば問題ありません。

共有持分を記載するときの注意点

共有持分の記載でつまずきやすい、代表的な注意点をまとめます。

  • 登記事項証明書どおりに書く:住居表示や固定資産税通知書の表記ではなく、登記記録の所在・地番・地積・床面積をそのまま書く

  • 持分の合計を必ず確認する:共有取得のときは、各人の持分を足して「1」になるか計算する

  • 相続人全員の署名・実印・印鑑証明書:全員がそろわないと協議は無効。相続登記でも印鑑証明書の添付が必要

  • 不動産番号だけで省略しない方が無難:13桁の不動産番号を書けば所在・地番等を省略できるとされますが(不動産登記令6条)、協議書では所在・地番・地積等も併記しておくと相続人全員が内容を確認しやすく安全です

  • 「とりあえず法定相続分で共有」に注意:話し合いをまとめず法定相続分で共有名義にすると、後の売却・管理でつまずきやすくなります(次章で解説)

参照:法務局 不動産登記の申請書様式について / 民法(e-Gov法令検索)

協議書ができたら|相続登記は「3年以内」が義務

遺産分割協議書ができたら、その内容にそって法務局で相続登記(所有権移転登記)を行います。ここで押さえておきたいのが、相続登記の申請義務化です。

  • 相続(遺言を含む)で不動産を取得した相続人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があります(不動産登記法76条の2第1項)

  • とくに遺産分割で不動産を取得した場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その結果に基づく登記をする必要があります

  • 正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります(同法164条1項)

  • 施行日(2024年4月1日)より前に相続した不動産も対象で、その場合は2027年(令和9年)3月31日までが期限です

参照:法務省 相続登記の申請義務化について

相続登記にかかる登録免許税

相続による所有権移転登記には登録免許税がかかります。税率は不動産の価額(固定資産税評価額)の0.4%(1000分の4)で、土地・建物とも同じです。共有で取得する場合も、取得する持分に応じた評価額で計算します。

相続する持分の評価額

税率

登録免許税の概算

500万円

0.4%

約2万円

1,000万円

0.4%

約4万円

2,000万円

0.4%

約8万円

(注)課税価格は評価額の1,000円未満を切り捨て、税額は100円未満を切り捨てて計算します。計算した額が1,000円に満たないときは1,000円です。

参照:国税庁 No.7191 登録免許税の税額表

【注意】共有のまま相続すると、後で「売れない・揉める」ことも

遺産分割協議で「とりあえず兄弟で共有」とする方は少なくありません。しかし、不動産を共有名義にすると、売却や大きな修繕には共有者全員の同意が必要になり、1人でも反対するとまったく動かせなくなります。相続を重ねるうちに共有者がねずみ算式に増え、権利関係がさらに複雑になることもあります。

事例:相続した実家の共有名義を、持分売却で解消(50代男性・神奈川県相模原市)

相続した実家(戸建て)の名義をめぐって兄弟間で意見が合わず、話し合いが数年間止まっていた50代男性(神奈川県相模原市)のケースでは、建物の老朽化で通常の仲介では売却が難しく、固定資産税や管理をめぐるやり取りが毎年の精神的負担になっていました。このケースでは、他の共有者の同意を待たずに、自分の共有持分だけを専門の買取業者に売却する方法で解決に至り、結果として約1か月半・260万円で持分を手放すことができています。

※掲載の金額・期間は過去の事例であり、物件の状況・権利関係・エリア等により査定結果は異なります。

遺産分割の段階で「共有にすべきか、単独にすべきか」で迷う場合や、すでに共有になっていて持て余している場合は、早めに専門家へ相談するのが安全です。

共有持分の売却・整理は「持分ガイド」に相談!

共有名義の不動産や共有持分には、相続・税務・登記の問題が複雑に絡み合います。「誰に相談すればいいかわからない」「共有者と話が進まない」という声は、後を絶ちません。

持分ガイドは、共有持分の問題解決に特化した相談窓口です。専門家が直接対応するため、たらい回しや的外れなアドバイスとは無縁です。相談・査定は完全無料、秘密厳守でお受けします。

持分ガイド 3つの安心

  • 相談・査定 0円 月間相談件数800件以上の実績

  • 急ぎの相談にもスピード対応

  • 専門家(不動産鑑定士・弁護士)が直接担当

 共有持分・売りづらい不動産を無料で相談する(カンタン60秒)


よくある質問

Q. 遺産共有持分とはどういう意味ですか?

A. 相続人が複数いる場合、遺産分割が終わるまでは、被相続人の遺産は相続人全員の共有状態になります(民法898条)。この状態で各相続人が持っている割合を「遺産共有持分」と呼びます。遺産分割協議で「誰が何を取得するか」を確定させることで、この暫定的な共有状態を解消します。

Q. 遺産分割協議書に必ず記載すべき事項は何ですか?

A. 決まった様式はありませんが、一般的には、被相続人の氏名・死亡日・本籍・最後の住所、相続人全員の合意である旨、誰がどの財産を取得するか(不動産は登記事項証明書どおりの表示と持分)、作成日、相続人全員の署名・押印(実印)を記載します。不動産の表示や持分の書き方を誤ると相続登記でやり直しになるため、正確に記載します。

Q. 遺産分割協議書は自分で作成できますか?

A. 作成できます。法律上、専門家への依頼が義務づけられているわけではありません。ただし、不動産の表示や共有持分の記載を誤ると相続登記が受け付けられないことがあり、相続人が多い・共有関係が複雑といったケースでは、司法書士や弁護士に依頼するほうが確実です。

Q. 「共同相続人」とは誰のことですか?

A. 同じ被相続人について相続権を持つ複数の相続人のことです。遺産分割協議は、この共同相続人「全員」で行う必要があり、1人でも欠けると協議は無効になります(民法907条1項)。

Q. 共有持分は「2分の1」などどう書けばいいですか?

A. 所有権の割合を分数で書きます。「相続人○○が持分2分の1を取得する」のように、誰がどの不動産の何分の何を取得するかを明記し、複数人で取得する場合は持分の合計が「1」になるようにします。金額ではなく割合(分数)で書くのが基本です。

Q. 不動産番号だけ書けば、所在や地番は省略できますか?

A. 制度上は、13桁の不動産番号を書けば所在・地番・地積などの記載を省略できるとされています(不動産登記令6条)。ただし、遺産分割協議書では相続人全員が内容を確認しやすいよう、所在・地番・地積等も併記しておくのが安全です。

遺産分割協議書の共有持分は記載例どおり正確に行おう

遺産分割協議書に共有持分を書くときは、記載例(ひな形)に沿って、登記事項証明書どおりの不動産の表示と「持分〇分の〇」の割合を正確に記載することが大切です。最後に要点を振り返ります。

  • 遺産分割協議書は相続人全員の合意で作成する(民法907条1項)

  • 共有持分は分数で書き、複数人で取得するときは合計が「1」になるようにする

  • 不動産は登記事項証明書どおりに。土地・建物・マンションで記載項目が異なる

  • 協議書ができたら相続登記へ。遺産分割で取得した不動産は遺産分割の日から3年以内が義務(怠ると10万円以下の過料)

  • 相続登記の登録免許税は評価額の0.4%

共有名義や共有持分は、書き方だけでなく「その後どう扱うか」で悩みが生まれがちです。共有のまま持て余している、売りたいのに共有者と話が進まない、そんなときは、まず気軽に相談してみましょう。

 共有持分・売りづらい不動産を無料で相談する(カンタン60秒)

あわせて読みたい関連記事

担当者

株式会社CLOUD HOMe 主任

本橋 陽加里

売却・買取・活用など、ご事情に合わせた選択肢をご案内します。相続・空き家・共有名義など「何から相談すればよいかわからない」段階からでも安心。最初から答えが決まっていなくても、一緒に整理していきましょう...

リストに戻る

カンタン60秒

email

共有持分・売りづらい不動産を相談する