# 共有持分
共有物分割請求とは?費用・流れ・デメリットと訴訟を避ける方法を解説
「共有名義の不動産を、どうしても手放したい・分けたい」「他の共有者が話し合いに応じてくれない」。そんなときの最終手段が共有物分割請求です。これは、各共有者に法律で認められた権利で、話し合い(協議)がまとまらなければ、最終的に裁判所へ分割を求めることができます。ただし、訴訟にすると費用も時間もかかり、必ずしも希望どおりの分け方になるとは限りません。この記事では、共有物分割請求の意味・3つの分割方法・訴訟の流れと費用・デメリットまで、民法や裁判所の一次情報をもとに整理し、あわせて「訴訟にする前に検討したい選択肢」まで解説します。
- 共有物分割請求とは
- 分割請求は各共有者に認められた権利(民法256条)
- まず「協議」、まとまらなければ「訴訟」(民法258条)
- 混同しやすい「共有物分割」と「遺産分割」の違い
- 共有物分割請求の3つの分割方法
- ① 現物分割:物理的に分ける
- ② 賠償分割(代償分割・価格賠償):1人が取得し金銭で清算
- ③ 換価分割(競売):売却して代金を分ける
- 共有物分割請求(訴訟)の流れ
- 共有物分割請求にかかる費用
- 訴額(訴訟の目的の価額)の計算方法
- 収入印紙・郵券
- 弁護士費用・鑑定費用の相場
- 共有物分割請求は拒否できる?
- 共有物分割請求のデメリット・注意点
- 相続した共有不動産の分割は「遺産分割」が原則
- 訴訟の前に検討したい「持分売却」という選択肢
- 事例:連絡の取れない共有者との共有名義を、訴訟の前に持分売却で解決(60代男性・千葉県松戸市)
- 共有持分・共有関係の解消は「持分ガイド」に相談!
- 持分ガイド 3つの安心
- 共有物分割請求に関するよくある質問
- Q. 共有物分割請求は拒否できますか?
- Q. 共有物分割請求の訴額(そがく)はいくらになりますか?
- Q. 共有物分割請求の弁護士費用はいくらですか?
- Q. 共有物分割請求のメリットは何ですか?
- Q. 相続した不動産にも共有物分割請求は使えますか?
- Q. 訴訟をせずに共有関係から抜ける方法はありますか?
- 共有物分割請求は最終手段。まず持分売却も検討しよう
- あわせて読みたい関連記事
この記事の要点
共有物分割請求は、各共有者がいつでも行える権利(民法256条)。まず共有者間の「協議」、まとまらなければ「訴訟」に進む
分割方法は現物分割・賠償分割(代償分割)・換価分割(競売)の3つ。裁判では条文の順序に沿って検討され、最後の手段が競売
訴訟は原則、他の共有者は拒否できない。分割自由の原則があるため、要件を満たせば裁判所が何らかの方法で共有状態を解消する
訴訟には訴額に応じた収入印紙・郵券・弁護士費用・鑑定費用がかかり、解決まで半年〜1年程度が目安
相続だけで生じた共有(遺産共有)は、原則「遺産分割」が先。共有物分割請求とは手続きが異なる
訴訟に進む前に、自分の共有持分だけを売却する方法もある。相手の同意がなくても共有関係から抜けられる
共有物分割請求とは

共有物分割請求とは、複数人で所有している不動産などの共有状態を解消するために、他の共有者に対して「分割しよう」と求めることをいいます。まずは共有者同士の話し合い(協議)で行い、協議がまとまらない場合に、裁判所へ分割を求める「共有物分割請求訴訟」に進みます。
分割請求は各共有者に認められた権利(民法256条)
民法256条は、各共有者は「いつでも」共有物の分割を請求できると定めています。これを分割自由の原則といい、他の共有者の同意がなくても、原則として分割を求めることができます。
ただし例外として、共有者間で「5年を超えない期間は分割しない」という不分割の特約を結ぶことは認められています(更新も可能ですが、更新後の期間も5年以内)。特約がなければ、いつでも分割請求ができるのが原則です。
まず「協議」、まとまらなければ「訴訟」(民法258条)
分割の進め方は、大きく次の2段階です。
協議(話し合い):共有者全員で、どう分けるか(誰が取得するか、いくらで清算するか等)を話し合う。全員が合意すれば、どんな分け方でも自由に決められる
訴訟:協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、裁判所に分割を請求できる(民法258条1項)
令和3年の民法改正(2023年4月1日施行)で、「協議をすることができないとき」という文言が条文に明記されました。これにより、他の共有者が話し合いにまったく応じない場合でも、訴訟の要件を満たすことが条文上はっきりしています。なお、訴訟では「協議が調わなかった(またはできなかった)」事実を示す必要があるため、話し合いを求めた記録として内容証明郵便を送っておくと、証拠として役立ちます。
参照:e-Gov法令検索 民法第258条/法務省 民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)
混同しやすい「共有物分割」と「遺産分割」の違い
似た言葉に「遺産分割」がありますが、両者は手続きが異なります。相続によって相続人だけの共有になっている不動産(遺産共有)は、原則として家庭裁判所での「遺産分割」で分けるのが基本で、地方裁判所の共有物分割請求訴訟では扱えません(民法258条の2第1項)。共有物分割請求は、売買や贈与などで生じた通常の共有や、遺産共有と通常共有が混在するケースなどで用いられます。相続がからむ場合の扱いは、後述の「相続した共有不動産」の章で詳しく解説します。
共有物分割請求の3つの分割方法

裁判で共有物を分割する方法は、民法258条で次のように定められています。大きく分けて3種類です。
① 現物分割:物理的に分ける
不動産そのものを物理的に分ける方法です。たとえば1筆の土地を分筆して、各共有者がそれぞれの区画を単独所有にします。土地では選択肢になり得ますが、建物は物理的に切り分けられないため、現物分割は難しいのが一般的です。
② 賠償分割(代償分割・価格賠償):1人が取得し金銭で清算
共有者のうちの1人が不動産を取得し、他の共有者にはその持分に見合う金銭(代償金)を支払う方法です。令和3年改正で、「共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部または一部を取得させる方法」として条文に明記されました(民法258条2項2号)。1人がすべての持分を買い取る形は「全面的価格賠償」と呼ばれ、最高裁も一定の要件のもとでこれを認めています(最高裁平成8年10月31日判決)。
③ 換価分割(競売):売却して代金を分ける
不動産を売却し、その代金を持分割合に応じて分ける方法です。現物分割も賠償分割もできない場合、または分割によって著しく価値が下がるおそれがある場合に、裁判所は競売を命じることができます(民法258条3項)。競売は市場価格より安くなりやすいため、多くのケースで最後の手段と位置づけられます。
裁判では、いきなり競売になるわけではなく、現物分割・賠償分割で解決できないかがまず検討され、それらが難しい場合に競売が選ばれる、という順序で判断されます。
共有物分割請求(訴訟)の流れ

協議で解決できず訴訟に進む場合、おおまかな流れは次のとおりです。
協議(話し合い):まず共有者間で分割を協議する。合意できれば訴訟は不要
(任意)調停:裁判所で調停委員を交えて話し合う方法もある。ただし共有物分割請求訴訟に調停前置は不要で、協議が不調ならすぐ訴訟を起こせる
訴訟提起:共有者全員を当事者として、地方裁判所(訴額140万円以下は簡易裁判所も可)に訴状を提出する
口頭弁論・和解の試み:主張と証拠を出し合う。途中で和解が成立することも多い
判決:裁判所が3つの分割方法から適切なものを選び、共有状態の解消を命じる
期間の目安は、大きな争点のない事件で半年〜1年程度とされます。共有物分割請求訴訟は「形式的形成訴訟」という特殊な性質があり、原則として請求が棄却されて終わることはなく、いずれかの分割方法で共有状態が解消されるのが通常です。なお、判決に納得できない場合は控訴も可能ですが、結果がより不利になる可能性もあるため慎重な判断が必要です。
共有物分割請求にかかる費用
訴訟にする場合、主に次の費用がかかります。
訴額(訴訟の目的の価額)の計算方法
訴額は、収入印紙代や管轄裁判所を決める基準になる金額です。共有物分割請求訴訟では、裁判所の運用(民事局長通知)に基づき、次のように計算するのが一般的です。
建物:固定資産税評価額 × 自分の持分割合 × 1/3
土地:固定資産税評価額 × 自分の持分割合 × 1/6
たとえば固定資産税評価額3,000万円の建物で持分1/2を持つ場合、訴額は「3,000万円 × 1/2 × 1/3 = 500万円」となります。訴額が140万円を超える場合は地方裁判所、140万円以下なら簡易裁判所が第一審の管轄です(ただし不動産の事件は地方裁判所への提起が勧められることが多い)。
収入印紙・郵券
訴状には、訴額に応じた収入印紙を貼ります。裁判所の手数料額早見表による目安は次のとおりです。
訴額 | 収入印紙(手数料)の目安 |
100万円 | 1万円 |
300万円 | 2万円 |
500万円 | 3万円 |
1,000万円 | 5万円 |
このほか、書類の送達に使う郵便切手(郵券)として、当事者が各1名の場合でおおむね4,000〜6,000円程度を予納します(金額は裁判所ごとに異なります)。なお、訴え提起の手数料は令和8年施行の改正民事訴訟法により金額が変わる場合があるため、最新額は裁判所の「手数料額早見表」で確認してください。
弁護士費用・鑑定費用の相場
弁護士に依頼する場合、着手金と報酬金がかかります。現在は費用が自由化されていますが、目安として旧日弁連基準では、共有物分割請求の経済的利益を「対象となる持分の時価の1/3」として着手金・報酬を計算していました。また、賠償分割などで不動産の適正な評価が必要になると、不動産鑑定に20〜30万円程度の費用がかかる場合もあります。
このように、訴訟には収入印紙・郵券に加えて弁護士費用・鑑定費用が重なり、総額が大きくなりやすい点は、あらかじめ理解しておく必要があります。
共有物分割請求は拒否できる?
「共有者から分割請求をされたが、拒否したい」というケースもあります。結論として、原則として拒否はできません。分割自由の原則(民法256条)があるため、正当な理由なく他の共有者の分割請求を拒み続けることはできず、協議に応じなければ最終的に訴訟へ進み、裁判所が何らかの方法で共有状態を解消します。
ただし、次のような例外的な場合には、分割請求が制限されることがあります。
共有者間で「5年を超えない不分割の特約」を結んでいる場合(民法256条ただし書)
分割請求が権利の濫用にあたるなど、特段の事情がある場合
マンションの共用部分など、法律上分割が認められていない共有物の場合
これらに当たらない限り、分割請求そのものを止めることは難しいため、拒否よりも「どの分割方法が自分にとって有利か」を検討するのが現実的です。
共有物分割請求のデメリット・注意点
強制的に共有状態を解消できる有効な手段ですが、次のようなデメリットもあります。
時間がかかる:訴訟は解決まで半年〜1年程度、争いが大きいとさらに長引く
費用がかかる:収入印紙・郵券に加え、弁護士費用・鑑定費用が重なる
希望どおりの分け方になるとは限らない:分割方法は最終的に裁判所が決めるため、望まない競売になることもある
競売は安くなりやすい:換価分割で競売になると、市場価格より低い金額でしか回収できないことが多い
人間関係が悪化しやすい:親族・兄弟・元配偶者との関係がこじれる原因になりやすい
共有者全員を当事者にする必要がある:一部の共有者だけを相手にした訴訟はできない
こうした負担を避けたい場合は、訴訟以外の解決手段を先に検討する価値があります。
相続した共有不動産の分割は「遺産分割」が原則
相続によって相続人だけの共有になっている不動産(遺産共有)は、原則として家庭裁判所での遺産分割で分けます。この場合、地方裁判所の共有物分割請求訴訟は使えません(民法258条の2第1項)。
ただし例外があり、相続開始の時から10年を経過したときは、相続財産に属する持分についても共有物分割の手続きで分けられるようになります(民法258条の2第2項)。この場合でも、相続人が遺産分割を求めて異議を申し出たときは、遺産共有部分は従来どおり遺産分割で扱われます(異議の申出は、裁判所から通知を受けた日から2か月以内)。
なお、相続人以外の第三者と相続人が一緒に共有している(遺産共有と通常共有が混在する)ケースでは、両者の共有関係の解消は共有物分割訴訟によるとされています。相続がからむ共有は判断が複雑なため、相続の名義変更や登記とあわせて専門家に確認するのが安全です。相続時の名義変更の手続きについては、関連記事もあわせてご覧ください。
訴訟の前に検討したい「持分売却」という選択肢
共有物分割請求(訴訟)は強力な手段ですが、費用・時間・精神的負担が大きく、必ずしも希望どおりの結果になるとは限りません。そこで、訴訟に踏み切る前に検討したいのが、自分の共有持分だけを売却するという方法です。
共有不動産全体の売却には共有者全員の同意が必要ですが、自分の持分だけであれば、他の共有者の同意がなくても売却できます。相手と交渉せずに共有関係から抜けたい、連絡の取れない共有者がいて話し合いが進まない、といった場合の現実的な選択肢になります。
事例:連絡の取れない共有者との共有名義を、訴訟の前に持分売却で解決(60代男性・千葉県松戸市)
相続した古家付き土地が、長年連絡の取れない共有者との共有名義のままになっていた60代男性(千葉県松戸市)のケースでは、全体売却の話が一歩も進まず、建物も古くて通常の売却が難しい状態でした。将来的に弁護士を通じた共有物分割請求が必要になるのではと不安を抱えていたそうです。
このケースでは、法的手続きに進む前に、自分の共有持分だけを売却することで解決に至りました。結果として約2か月・120万円で持分を手放し、共有関係から抜けることができています。担当者は「いきなり法的手続きに向かう前に、まず持分売却として整理できることはないかを検討することが、結果的に時間とコストを抑えることにつながります」と話しています。
※掲載の金額・期間は過去の事例であり、物件の状況・権利関係・エリア等により査定結果は異なります。
他社で断られた共有持分も、まず無料で相談する(カンタン60秒)
共有持分・共有関係の解消は「持分ガイド」に相談!

共有物分割請求や共有関係の解消には、法律・税務・不動産の問題が複雑に絡み合います。「誰に相談すればいいかわからない」「業者に連絡したら強引だった」という声は、後を絶ちません。
持分ガイドは、共有持分の問題解決に特化した相談窓口です。専門家が直接対応するため、たらい回しや的外れなアドバイスとは無縁です。まずは状況をお聞かせください。相談・査定は完全無料、秘密厳守でお受けします。
持分ガイド 3つの安心
相談・査定 0円 月間相談件数800件以上の実績
急ぎの相談にもスピード対応
専門家(不動産鑑定士・弁護士)が直接担当
共有持分・売りづらい不動産を無料で相談する(カンタン60秒)
共有物分割請求に関するよくある質問

Q. 共有物分割請求は拒否できますか?
A. 原則として拒否できません。各共有者にはいつでも分割を請求できる権利があり(分割自由の原則)、協議に応じなくても最終的に訴訟へ進み、裁判所が分割方法を決めます。例外は、5年以内の不分割特約がある場合や、権利の濫用にあたる場合などに限られます。
Q. 共有物分割請求の訴額(そがく)はいくらになりますか?
A. 建物は「固定資産税評価額 × 持分割合 × 1/3」、土地は「固定資産税評価額 × 持分割合 × 1/6」で計算するのが一般的です。たとえば評価額3,000万円の建物で持分1/2なら、訴額は500万円です。訴額が140万円を超えると地方裁判所の管轄になります。
Q. 共有物分割請求の弁護士費用はいくらですか?
A. 費用は自由化されており事務所ごとに異なりますが、目安として旧日弁連基準では、経済的利益を「対象となる持分の時価の1/3」として着手金・報酬を計算していました。これに加え、収入印紙・郵券や、必要に応じて不動産鑑定費用(20〜30万円程度)がかかる場合があります。
Q. 共有物分割請求のメリットは何ですか?
A. 他の共有者が話し合いに応じない場合でも、法的な強制力をもって共有状態を確実に解消できる点が最大のメリットです。塩漬けになっていた共有不動産を、現物分割・賠償分割・換価分割のいずれかで整理できます。
Q. 相続した不動産にも共有物分割請求は使えますか?
A. 相続人だけの共有(遺産共有)は、原則として家庭裁判所の遺産分割で分けるため、共有物分割請求訴訟は使えません。ただし相続開始から10年を経過すると、共有物分割の手続きで分けられる場合があります(相続人の異議がある場合を除く)。
Q. 訴訟をせずに共有関係から抜ける方法はありますか?
A. あります。自分の共有持分だけであれば、他の共有者の同意がなくても売却できます。相手と交渉したくない、連絡が取れない共有者がいる、といった場合は、訴訟の前に持分売却を検討するのも有効です。
共有物分割請求は最終手段。まず持分売却も検討しよう
共有物分割請求は、話し合いで解決できない共有状態を、最終的に裁判所の力で解消できる有効な手段です。最後に要点を振り返ります。
共有物分割請求は各共有者の権利(民法256条)。まず協議、まとまらなければ訴訟に進む
分割方法は現物分割・賠償分割・換価分割(競売)の3つ。競売は最後の手段
原則として他の共有者は拒否できず、要件を満たせば裁判所が共有状態を解消する
訴訟には収入印紙・郵券・弁護士費用・鑑定費用がかかり、解決まで半年〜1年が目安
相続だけで生じた共有は、原則「遺産分割」が先(10年経過で例外あり)
訴訟の前に、自分の持分だけを売却する選択肢もある
訴訟は費用も時間もかかり、望まない競売になるリスクもあります。「まず自分の持分だけでも整理できないか」という視点を持つと、負担を抑えて共有関係から抜けられるケースもあります。共有名義や相続がからんで動かせなくなった不動産についても、まずは気軽に相談してみましょう。
あわせて読みたい関連記事
担当者
株式会社CLOUD HOMe 主任
本橋 陽加里
売却・買取・活用など、ご事情に合わせた選択肢をご案内します。相続・空き家・共有名義など「何から相談すればよいかわからない」段階からでも安心。最初から答えが決まっていなくても、一緒に整理していきましょう...
リストに戻る
