2026.09.28

# 共有持分

共有名義の不動産を相続したときの名義変更|手続きの流れ・費用・必要書類を解説 

親や配偶者、兄弟と「共有名義」になっている不動産を相続すると、まず必要になるのが名義変更(相続登記)です。2024年4月からは相続登記が義務化され、放置すると過料の対象になることも。この記事では、共有名義の不動産を相続したときの名義変更について、誰が持分を相続するのか・手続きの流れ・費用・必要書類を、国税庁や法務省の一次情報にもとづいて整理します。あわせて、共有のまま相続して身動きが取れなくなったときの現実的な出口も紹介します。

共有名義の不動産を相続したときの「名義変更」とは

共有名義の不動産を相続したときの名義変更とは、亡くなった人(被相続人)の持分を、相続人の名義に移す登記手続き=「相続登記」のことです。登記簿上の名義を故人のままにしておくことはできず、相続した人へ名義を書き換える必要があります。

相続で名義変更が必要になる主なパターンは、次の2つです。

  • パターンA: すでに共有名義だった不動産で、共有者の1人(親・配偶者など)が亡くなった。その人の持分だけを相続人へ移す。

  • パターンB: 単独名義の不動産を、複数の相続人で相続した。1つの不動産を複数人で持つため、新たに共有名義になる。

どちらの場合も手続きの中心は相続登記です。まずは「誰の持分を・誰が・どう受け継ぐか」を、下の早見表で押さえましょう。

確認すること

ポイント

名義変更の正体

相続登記(所有権移転登記)

誰が相続するか

遺言→なければ遺産分割協議→まとまらなければ法定相続分

いつまでに

取得を知った日から3年以内(2024年4月〜義務化)

主な費用

登録免許税=固定資産税評価額×0.4%+実費・専門家報酬

共有のまま相続すると

売却・活用に共有者全員の同意が必要になり、揉めやすい

相続した共有名義の不動産は名義変更が「義務」|2024年4月から

2024年(令和6年)4月1日から、相続登記は義務化されました。 相続(遺言を含む)で不動産を取得した相続人は、自分のために相続が開始したことを知り、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません(不動産登記法第76条の2第1項)。正当な理由がないのに怠ると、10万円以下の過料の対象になります(同法第164条第1項)。

注意したいのは、2024年4月より前に発生した相続も対象だという点です。名義が祖父母や親のまま何十年も放置されている不動産も含まれ、この場合の期限は2027年(令和9年)3月31日まで(取得を知った日が2024年4月以降なら、その日から3年以内)とされています。

遺産分割協議がまとまらず期限に間に合いそうにないときは、相続人申告登記という簡易な手続きで、いったん義務を果たすこともできます(別途、協議成立後に正式な相続登記が必要です)。

参照:法務省 相続登記の申請義務化について

亡くなった共有者の持分は誰が相続する?

共有者の1人が亡くなったとき、その持分は次の優先順位で受け継がれます。

  1. 遺言がある場合: 原則として遺言の内容に従って相続します。

  2. 遺言がない場合: 相続人全員で「遺産分割協議」を行い、誰がどの財産を取得するかを話し合って決めます。合意すれば、特定の1人が単独で取得することも可能です。

  3. 協議がまとまらない場合: いったん法定相続分どおりに共有として登記することもできます(ただし共有関係が続くため、後日の分割が必要)。

法定相続分の基本

遺産分割の目安となる法定相続分は、相続人の組み合わせで決まります。配偶者は常に相続人になり、それ以外は子→直系尊属(父母など)→兄弟姉妹の順です。

相続人の組み合わせ

配偶者

他の相続人(合計)

配偶者と子

1/2

子で1/2を人数按分

配偶者と直系尊属

2/3

直系尊属で1/3

配偶者と兄弟姉妹

3/4

兄弟姉妹で1/4

参照:国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分

共有者に相続人がいないケース

亡くなった共有者に相続人がいない場合、その持分は最終的に他の共有者へ帰属します(民法第255条)。ただし、ただちに他の共有者のものになるわけではありません。相続債権者への清算や、特別縁故者への財産分与(民法第958条の2)の手続きを経て、なお承継する人がいないと確定してはじめて、他の共有者へ帰属すると解されています(最高裁平成元年11月24日判決)。

参照:国税庁 質疑応答事例(民法第255条により共有持分を取得した場合)

共有名義の相続で名義変更する手続きの流れ(5ステップ)

遺産分割協議によって相続登記をする場合の一般的な流れは、次のとおりです。

  1. 相続人を確定する 被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどり、相続人が誰かを確定します。

  2. 遺産分割協議を行う 相続人全員で、誰がその持分(不動産)を取得するかを話し合い、合意します。

  3. 必要書類を集める 戸籍・住民票・遺産分割協議書・印鑑証明書・固定資産評価証明書などを準備します。

  4. 登記を申請する 不動産の所在地を管轄する法務局へ、登記申請書と書類一式・登録免許税を添えて申請します。

  5. 登記完了 審査後、登記が完了し、新しい名義の登記識別情報(権利証にあたるもの)が交付されます。

※自分で申請することもできますが、戸籍の収集や協議書の作成が煩雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。

名義変更(相続登記)にかかる費用|登録免許税とシミュレーション

相続による名義変更で必ずかかるのが登録免許税です。相続による所有権移転登記の税率は、固定資産税評価額 × 0.4%(1000分の4)。土地・建物とも同じ税率で、売買(2.0%)や贈与(2.0%)より低く設定されています。共有持分を相続する場合は、評価額に自分が取得する持分割合を掛けた額が課税の基礎になります。

参照:国税庁 No.7191 登録免許税の税額表

登録免許税のシミュレーション

固定資産税評価額と取得する持分割合ごとの、登録免許税の目安です(評価額 × 持分 × 0.4%)。

固定資産税評価額

持分すべて(1/1)

持分1/2を取得

持分1/3を取得

1,000万円

4万円

2万円

約1.3万円

2,000万円

8万円

4万円

約2.7万円

3,000万円

12万円

6万円

4万円

※課税価格は評価額の1,000円未満を切り捨て、税額は100円未満を切り捨て。計算額が1,000円未満のときは1,000円。上表は概算です。

土地の相続登記には免税措置も

土地の相続登記には、登録免許税の免税措置があります。①相続で土地を取得した人が登記前に死亡した場合の登記、②評価額100万円以下の土地の相続登記は、2027年(令和9年)3月31日まで登録免許税が免税です。地方の低評価の土地や、細分化された持分では、この措置で税額が0になることもあります。

参照:法務局 相続登記の登録免許税の免税措置について

そのほかにかかる費用

  • 必要書類の取得費: 戸籍・住民票・評価証明書などで、数千円〜1万円程度。

  • 司法書士報酬: 依頼する場合、不動産1件あたりおおむね5万〜15万円程度が目安(事務所・難易度により幅があります)。

なお、相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、別途、相続税の申告・納税が必要になることがあります。

参照:国税庁 No.4152 相続税の計算/国税庁 No.4102 相続税がかかる場合

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名義変更に必要な書類一覧(遺産分割協議のケース)

遺産分割協議で相続登記をする場合の、代表的な必要書類は次のとおりです。ケースにより追加書類が必要になることもあります。

書類

取得先・備考

被相続人の出生〜死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)

本籍地の市区町村

被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)

最後の住所地の市区町村

相続人全員の戸籍謄(抄)本

各相続人の本籍地

不動産を取得する相続人の住民票

住所地の市区町村

遺産分割協議書

相続人全員で作成

相続人全員の印鑑証明書

住所地の市区町村

固定資産評価証明書

不動産所在地の市区町村(登録免許税の算定用)

登記申請書

自分で作成または司法書士が作成

共有名義のまま相続するとどうなる?主なデメリット

名義変更を済ませても、複数人の「共有名義」のまま持ち続けると、次のような問題が起こりやすくなります。

  • 売却・賃貸・大規模な変更に全員の同意が必要: 共有物の売却や建て替えなどには、共有者全員の合意が必要です。1人でも反対すれば前に進みません。

  • 相続のたびに共有者が増える: 共有者が亡くなるとその持分がさらに複数の相続人へ分かれ、世代を重ねるほど権利関係が複雑になります。

  • 固定資産税・管理費の負担が続く: 使っていなくても、持分に応じた固定資産税や維持費の負担は毎年発生します。

  • 連絡の取れない共有者が出てくる: 疎遠な親族が共有者だと、話し合い自体が始められないことがあります。

こうしたリスクを避けるため、相続を機に「共有を解消して単独名義にする」または「自分の持分を手放す」ことを検討する人が少なくありません。

共有名義を解消して単独名義にする方法

相続した共有名義を1人の名義(単独名義)にまとめるには、主に次の方法があります。

  • 遺産分割で1人が取得する: 協議で特定の相続人が不動産を単独取得し、他の相続人には代償金を支払う(代償分割)など。

  • 他の共有者の持分を買い取る/贈与を受ける: すでに共有になっている場合に、他の共有者の持分を取得して単独名義にする。

  • 共有物分割: 話し合い(協議分割)でまとまらなければ、共有物分割請求という手続きもあります。

  • 自分の持分だけを売却する: 他の共有者の同意がなくても、自分の持分だけを第三者(専門買取業者など)へ売却できます。

単独名義化にかかる費用や税金の詳しい比較は、関連記事「共有名義から単独名義に変更する費用」(※要内部リンク差し替え)で解説しています。

共有のまま相続して揉めているなら、自分の持分だけを手放す選択肢も

「名義変更や売却には共有者全員の合意が必要」と思い込み、話し合いが止まったまま何年も動けない、相続ではよくある状況です。しかし実際には、自分の持分だけであれば、他の共有者の同意がなくても手放すことができます。

たとえば、相続した実家の持分をめぐって兄弟の一人が売却に同意せず、数年間膠着していた50代男性(神奈川県相模原市・戸建て)のケースでは、建物の老朽化で通常の仲介では売却が難しく、固定資産税や管理をめぐるやり取りが毎年の負担になっていました。最終的に自分の持分だけを売却する方法で、約1か月半・260万円で解決に至っています。

※掲載の金額は過去の事例であり、物件の状況・権利関係・エリア等により査定結果は異なります。(出典:持分ガイド「お客様の声」)

共有者との話し合いが進まない、他社で断られた、というときでも、持分売却という出口は残されています。まずは現状を整理するところから始めてみてください。

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よくある質問

Q. 共有名義から名義変更するにはいくらかかりますか? 

A. 相続による名義変更の登録免許税は、固定資産税評価額 × 0.4%(持分を相続する場合は評価額×持分割合×0.4%)です。これに戸籍などの取得費(数千円〜)と、司法書士に依頼する場合の報酬(不動産1件あたり5万〜15万円程度)が加わります。

Q. 相続で共有名義の家はどうなるのですか? 

A. 相続人が複数いる場合、遺産分割協議で取得者を決めなければ、法定相続分に応じて共有名義になります。共有のままだと売却や活用に全員の同意が必要になり、扱いにくくなるため、単独名義への集約や持分の売却を検討するケースが多くあります。

Q. 共有名義から単独名義に変更するにはどうすればいいですか? 

A. 遺産分割で1人が取得する、他の共有者の持分を買い取る・贈与を受ける、共有物分割を行う、などの方法があります。まとまらない場合は、自分の持分だけを売却して共有関係から抜ける方法もあります。

Q. 名義変更(相続登記)をしないとどうなりますか? 

A. 2024年4月から相続登記は義務化され、取得を知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。名義が故人のままだと売却手続きも進めにくいため、早めの登記がおすすめです。

Q. 相続した共有持分だけでも売却できますか? 

A. できます。共有不動産全体の売却には全員の同意が必要ですが、自分の持分だけであれば、他の共有者の同意がなくても第三者(専門買取業者など)へ売却できます。

共有名義の相続・名義変更のポイントを押さえておこう

共有名義の不動産を相続したときの名義変更は、次のポイントを押さえておけば整理できます。

  • 名義変更=相続登記。故人の持分を相続人へ移す手続き

  • 2024年4月から義務化。取得を知った日から3年以内、放置は10万円以下の過料(過去分は2027年3月末まで)

  • 誰が相続するかは、遺言→遺産分割協議→法定相続分の順で決まる

  • 費用の中心は登録免許税=評価額×0.4%。土地には100万円以下などの免税措置も

  • 共有のまま持ち続けると揉めやすい。単独名義化や、自分の持分だけの売却も選択肢

共有者との話し合いが進まない、相続した持分を今後どうすべきか迷っている、そんなときは、選択肢の整理から専門家に相談するのが近道です。

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担当者

株式会社CLOUD HOMe 主任

本橋 陽加里

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