2026.10.27

# 共有持分

登記事項証明書の共有持分の見方|甲区のどこを見る?持分割合・下線の読み方を解説 

「相続した不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を取ったが、自分の持分がどこに書いてあるのか分からない」「“持分3分の1”という記載は何を意味するのか」。共有名義の不動産では、登記事項証明書のどこを・どう読むかを押さえておくことが、売却・相続・税金の判断の出発点になります。

この記事では、登記事項証明書の構成(表題部・権利部甲区・乙区)を整理したうえで、共有持分(持分割合)がどこに、どんな形で書かれているのかを中心に、下線や順位番号など読み間違えやすいポイント、証明書の取り方・手数料まで、法務省・法務局の一次情報をもとに解説します。

この記事の要点

  • 共有持分(持分割合)は、権利部の「甲区(所有権に関する事項)」に「共有者 住所 持分○分の○ 氏名」の形で記載される

  • 証明書の下線は「抹消された事項」を示す。過去の持分や抹消済みの抵当権には下線が引かれている

  • 現在の持分だけを確かめたいなら「現在事項証明書」、過去の経緯まで見たいなら「全部事項証明書」を選ぶ

  • 登記事項証明書は誰でも取得できる(不動産登記法119条)。手数料は書面請求で1通600円(2025年4月1日時点)

  • 自分が共有持分を持っていると分かったら、売却・名義整理などの選択肢を早めに検討できる

登記事項証明書とは?登記簿謄本との違い

登記事項証明書とは、法務局(登記所)に記録されている土地・建物の情報を、登記官が公的に証明した書面です。かつては紙の登記簿の写しを「登記簿謄本」と呼んでいましたが、登記事務が電子化(コンピュータ化)され、磁気ディスク上の登記記録の内容を証明する現在の形式が「登記事項証明書」です。内容が証明する対象は基本的に同じで、「登記簿謄本」と「登記事項証明書」は実質的に同じものと考えて差し支えありません。

登記事項証明書は、不動産の権利関係を誰にでも分かるように公開し、取引の安全をはかるための制度です。そのため、所定の請求書を出せば、所有者本人でなくても誰でも取得できます。

参照:法務省 不動産登記のABC

登記事項証明書の構成(表題部・権利部甲区・乙区)

登記記録は、1筆(1区画)の土地または1個の建物ごとに、「表題部」と「権利部」に区分して作られています。さらに権利部は「甲区」と「乙区」に分かれ、必要に応じて「共同担保目録」が付きます。まず全体像をつかみましょう。

区分

記載される内容

共有持分との関係

表題部

不動産の物理的な状況(所在・地番・地目・地積・家屋番号・構造・床面積など)

直接は関係しない(※マンションの敷地権割合はここ)

権利部(甲区)

所有権に関する事項(所有者・取得時期・取得原因・差押えなど)

共有持分(持分割合)はここに書かれる

権利部(乙区)

所有権以外の権利(抵当権・地上権・賃借権など)

持分に設定された抵当権などが分かる

共同担保目録

同じ債権の担保として複数の不動産に抵当権が設定されている場合の物件一覧

他の共有不動産との担保関係が分かる

参照:法務省 不動産登記のABC

表題部|不動産の物理的な状況

表題部は登記記録の一番上にあり、不動産の物理的な状況が記載されます。土地なら所在・地番・地目(土地の現況)・地積(面積)など、建物なら所在・地番・家屋番号・種類・構造・床面積などです。表題部にする登記は「表示に関する登記」と呼ばれます。

なお、マンションなどの区分建物では、表題部に「敷地権の割合」が記載されることがあります。これは土地(敷地)を利用する権利の割合であり、建物の共有持分とは別の概念です。混同しないように注意しましょう。

権利部(甲区)|共有持分が分かる最重要パート

甲区には、所有者に関する事項が記録されます。「その不動産を誰が、いつ、どんな原因(売買・相続など)で取得したか」が時系列で分かり、所有権の保存・移転の登記のほか、差押え・仮処分・仮登記などもここに記載されます。

共有名義の不動産では、この甲区に各共有者の持分が記載されます。 共有持分の見方は次章で詳しく解説します。

権利部(乙区)|抵当権など所有権以外の権利

乙区には、所有権以外の権利に関する事項が記録されます。もっとも多いのは住宅ローンの「抵当権設定登記」で、債権額・債務者・抵当権者などが記載されます。ほかに根抵当権・地上権・地役権・賃借権・配偶者居住権などが登記されることがあります。該当する権利がなければ、乙区自体が存在しない場合もあります。

共同担保目録|複数不動産の担保関係

共同担保目録は、1つの債権の担保として複数の不動産に抵当権が設定されている場合に、その対象物件を一覧にしたものです。「土地と建物をセットで担保に入れている」といった関係を確認できます。

共有持分(持分割合)はどこを見る?甲区の読み方

共有持分を確認するときに見るのは、権利部(甲区)です。共有名義の場合、甲区には次のような形で共有者ごとの持分が記載されます。

権利部(甲区)(所有権に関する事項)

順位番号  登記の目的   権利者その他の事項

2        所有権移転   原因 令和○年○月○日相続

                      共有者 ○○市○○町○番○号

                        持分 3分の2

                        法務 太郎

                      ○○市○○町○番○号

                        持分 3分の1

                        法務 花子

読み方のポイントは次の3つです。

  • 「持分○分の○」が、その人の所有割合です。上の例なら法務太郎が3分の2、法務花子が3分の1を所有しています

  • 共有者全員の持分を合計すると「1(全体)」になります。合計が1にならないときは、ほかに共有者がいる(別の登記で持分が移転している)可能性があります

  • 「共有者」と書かれていれば共有名義、「所有者」と書かれていれば単独名義です。「所有者」とだけ記載され持分の表示がなければ、その人が100%を所有しています

持分がどう動いたかは「登記の目的」で分かる

誰から誰へ持分が移ったかは、甲区の「登記の目的」欄で確認できます。たとえば「○○持分全部移転」は特定の共有者の持分が丸ごと移ったこと、「共有者全員持分全部移転」は共有者全員の持分がまとめて移ったことを表します。相続・売買・贈与などの「原因」とあわせて読むと、持分の移動の経緯が把握できます。

補足:固定資産税の納税通知書や固定資産評価証明書、名寄帳でも持分の目安は分かりますが、権利関係を正式に確認できるのは登記事項証明書です。売却や相続手続きの前提確認には登記事項証明書を使いましょう。

読み間違えやすい3つのポイント

共有持分を正しく読むために、特に間違いやすい点を押さえておきましょう。

① 下線は「抹消された事項」を示す

登記事項証明書の記載のうち、下線(アンダーライン)が引かれているものは、すでに抹消された(効力を失った)事項です。証明書の末尾にも「下線のあるものは抹消事項であることを示す」旨が記載されています。

たとえば、過去の所有者や、持分が移転する前の古い持分の記載、完済して抹消された抵当権などに下線が引かれます。下線のある持分は「現在の持分」ではないため、下線のない最新の記載を見て現在の権利関係を判断してください。

参照:法務省 不動産登記のABC(登記事項証明書の見本)

② 順位番号は権利の前後関係を示す

甲区・乙区の左端にある「順位番号」は、その区の中で登記された順番を示します。原則として、番号が先(小さい)ものが優先されます。乙区で抵当権が複数ある場合は、順位番号が先の抵当権が優先的に弁済を受けられる、という関係になります。

③ 現在の持分だけ見たいなら「現在事項証明書」

全部事項証明書には過去の履歴(下線付きの抹消事項)も載るため、「今の権利関係だけを手早く知りたい」場合は、現在有効な事項だけが記載される「現在事項証明書」を取ると読みやすくなります。証明書の種類は次章で解説します。

登記事項証明書の種類

登記事項証明書には、主に次の4種類があります。目的に応じて選びましょう。

種類

内容

こんなときに

全部事項証明書

現に効力のある登記事項に加え、抹消された履歴も含めて全部を証明

持分の移動の経緯まで確認したい/売買・相続・ローンなど最も一般的

現在事項証明書

現在有効な登記事項のみを証明(過去の所有者・抹消済みの権利は載らない)

現在の所有者・持分・抵当権の有無だけを手早く確認したい

一部事項証明書

甲区・乙区のうち請求した一部のみを証明(何区何番事項証明書)

共有者が多数のマンションで自分の持分だけを証明したい

閉鎖事項証明書

合筆・分筆・滅失などで閉鎖された登記記録を証明

過去に存在した不動産の履歴を調査したい

参照:法務省 不動産登記のABC

登記事項証明書の取得方法と手数料

登記事項証明書は、手数料を納めれば誰でも取得できます(不動産登記法119条)。取得方法は次の3つです(電話での請求はできません)。

  • 法務局の窓口:管轄の登記所、または最寄りの登記所の窓口に請求書を提出する

  • 郵送:管轄登記所に請求書を郵送する(返送用の郵送料がかかる)

  • オンライン:「登記・供託オンライン申請システム(かんたん証明書請求)」で請求し、窓口受取または郵送受取を選ぶ

参照:法務局 登記事項証明書の交付を請求するには(登記・供託オンライン申請システム)

手数料(2025年4月1日時点)

請求方法

手数料(1通)

書面請求(窓口・郵送)

600円

オンライン請求・郵送受取

520円

オンライン請求・窓口受取

490円

※1通が50枚を超える場合は、超える50枚ごとに100円が加算されます。オンライン請求のほうが手数料は安くなります。

参照:法務省 登記手数料について

証明力は不要で内容だけ確認したいなら「登記情報提供サービス」

権利関係の内容を確認するだけなら、インターネットで登記情報をPDF閲覧できる「登記情報提供サービス」(運営:一般財団法人民事法務協会)が便利です。不動産の全部事項で1件330円程度と、証明書より安く即時に確認できます。ただし登記官の認証(公印)が付かないため、法的な証明力はなく、公的機関への提出には使えません。提出用には登記事項証明書を取得してください。

参照:法務省 登記情報提供サービス

登記事項証明書で共有持分を確認したら、次にできること

登記事項証明書を取り、自分が不動産の共有持分を持っていると分かった後の動き方は、状況によって変わります。相続で複数の相続人が持分を取得した、離婚後も元配偶者と共有のまま、といったケースでは、共有関係をどう整理するかが次の課題になります。

相続で取得した不動産については、相続登記が2024年(令和6年)4月1日から義務化されています。取得を知った日から3年以内に登記しないと、正当な理由がない場合は10万円以下の過料の対象になるため、まず相続登記を済ませることが前提になります。

参照:法務省 あなたと家族をつなぐ相続登記

そのうえで、共有を解消したい・持分を手放したい場合には、持分の売却という選択肢があります。共有不動産は共有者全員の同意がないと「全体」は売れませんが、自分の持分だけなら、他の共有者の同意がなくても売却できます。

事例:相続した実家の共有持分を売却して解決(50代男性・神奈川県相模原市)

相続によって兄弟と共有名義になった実家(戸建て)をめぐり、兄弟の一人が売却に同意せず、話し合いが数年間止まっていた50代男性(神奈川県相模原市)のケースでは、建物の老朽化で通常の仲介では売りにくく、固定資産税や管理をめぐる兄弟間のやり取りが毎年の精神的負担になっていました。

このケースでは、共有者全員の合意を待たず、自分の持分だけを売却する方法で解決に至りました。価格の根拠を丁寧に説明したうえで判断いただき、結果として約1か月半・260万円で持分を手放すことができています。

※掲載の金額・期間は過去の事例であり、物件の状況・権利関係・エリア等により査定結果は異なります。

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共有持分の確認や売却には、法律・税務・不動産の問題が複雑に絡み合います。「登記簿を見たら共有名義だった」「他の共有者と話が進まない」「業者に連絡したら強引だった」という声は、後を絶ちません。

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共有持分・売りづらい不動産を相談するよくある質問

Q. 登記事項証明書で共有持分はどこを見ればいいですか?

A. 権利部の「甲区(所有権に関する事項)」を見ます。共有名義の場合、「共有者 住所 持分○分の○ 氏名」の形で、共有者ごとに持分割合が記載されています。「持分3分の1」とあれば、その人は3分の1を所有していることを意味します。

Q. 「持分3分の1」とはどういう意味ですか?

A. その不動産全体のうち、3分の1の割合を所有しているという意味です。共有者全員の持分を合計すると「1(全体)」になります。持分は床や部屋の特定の一部を指すのではなく、不動産全体に対する権利の割合を表します。

Q. 登記簿謄本の下線(アンダーライン)は何を意味しますか?

A. 下線は「抹消された事項」を示します。過去の所有者や移転前の古い持分、完済して抹消された抵当権などに下線が引かれます。現在の権利関係は、下線のない最新の記載で確認してください。

Q. 登記事項証明書と登記簿謄本は違うものですか?

A. 実質的に同じものです。登記事務の電子化により、紙の「登記簿謄本」に代わって、電子化された登記記録を証明する「登記事項証明書」が交付されるようになりました。証明する内容は基本的に同じです。

Q. 登記事項証明書は誰でも取得できますか?費用はいくらですか?

A. 手数料を納めれば誰でも取得できます(不動産登記法119条)。手数料は書面請求で1通600円、オンライン請求なら窓口受取490円・郵送受取520円です(2025年4月1日時点)。法務局の窓口・郵送・オンラインのいずれでも請求できます。

登記事項証明書で共有持分の見方を押さえよう

登記事項証明書は、共有持分を確認するための基本の書類です。最後に要点を振り返ります。

  • 共有持分(持分割合)は、権利部の「甲区」に「共有者 住所 持分○分の○ 氏名」の形で記載される

  • 共有者全員の持分を合計すると「1(全体)」になる

  • 下線は「抹消された事項」。現在の権利関係は下線のない最新の記載で判断する

  • 現在の権利だけ見たいなら「現在事項証明書」、履歴まで見たいなら「全部事項証明書」

  • 登記事項証明書は誰でも取得でき、手数料は書面請求で1通600円(オンラインはより安い)

  • 共有持分を持っていると分かったら、相続登記や持分の売却・整理を早めに検討できる

登記や持分の整理は、相続・税金・不動産の問題が複雑にからみます。共有名義のまま動かせなくなった不動産についても、まずは気軽に相談してみましょう。

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担当者

株式会社CLOUD HOMe 主任

本橋 陽加里

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