2026.07.24
# 共有持分
共有持分の私道とは?トラブル事例や売却時の注意点を解説!
共有持分の私道とは、複数人で所有している私道の権利を指します。通行や掘削、修繕、売却時にトラブルが起こることもあるため注意が必要です。本記事では、共有持分の私道について、よくあるトラブルや売却時の注意点、対処法を解説します。
私道の共有持分とは?

私道の共有持分とは、私道を複数人で共同所有している場合に、それぞれの所有者が持つ権利の割合を指します。分譲住宅や旗竿地などでは、道路部分を近隣の住民同士で共有しているケースが少なくありません。
共有持分を所有していたとしても、私道の一部分だけを自由に使えるわけではなく、持分割合に応じて私道全体に対する権利を持つことになります。そのため、私道に関する判断では、他の共有者との関係も重要になります。
また、不動産を購入・売却する際は、建物や土地だけでなく、私道の共有持分が含まれているかどうかも確認しておくことが大切です。
一般的な私道の違い
私道には、個人や法人が単独で所有するものと、複数人で共有するものがあります。単独所有の場合は所有者が管理を行いますが、共有私道では複数の共有者が権利を持つため、私道の利用や管理にあたって話し合いが必要になる場面があります。そのため、共有私道は単独所有の私道と比べて権利関係が複雑になりやすい点が特徴です。
共有持分の私道に関する民法の改正
2023年4月の民法改正では、共有物に関するルールが見直されました。改正前は共有者全員の同意が必要となるケースが多く、共有者の所在がわからない場合などに手続きが進まないことが課題となっていました。
改正後は、一定の管理行為や軽微な変更については持分価格の過半数で決定できるように整備されており、共有物をより管理しやすくなっています。
しかし、すべてのケースで過半数の同意だけで対応できるわけではありません。工事の内容などによって必要な手続きは異なるため、個別の状況に応じて確認することが重要です。
出典:民法改正と「共有私道ガイドライン」の改訂について|法務省民事局
私道の共有持分でトラブルが起こりやすい理由

共有持分のある私道は、複数人が共同で所有しているため、利用や管理に関する考え方が一致しないことがあります。日常的には問題なく利用できていても、工事修繕、費用負担などが発生した際に意見が分かれ、トラブルへ発展するケースも少なくありません。
ここでは、共有私道でトラブルが起こりやすい主な理由を紹介します。
共有者同士での意思統一が難しい
共有私道では、複数の所有者が権利を持っているため、何かを決める際には共有者同士の話し合いが必要になることがあります。
しかし、共有者の人数が多い場合や、連絡が取りづらい人がいる場合は、意見をまとめることが難しくなります。また、私道の利用状況や考え方は人それぞれ異なるため、合意形成に時間がかかることもあります。
費用負担を巡って不公平感が生まれやすい
私道を維持するためには、修繕や清掃などの費用が発生することがあります。
その際に「利用頻度が少ないのに同じように負担するのは納得できない」「持分割合どおりに負担すべきだ」など、費用の分担方法を巡って意見が分かれるケースは少なくありません。負担方法があらかじめ決められていないと、トラブルにつながりやすいです。
私道を利用するルールについて齟齬が生まれやすい
共有私道では、通行方法や車両の駐車、工事を行う際の対応などについて、共有者ごとに認識が異なることがあります。
口約束のまま利用が続いているケースも多く、明確なルールがない場合は「聞いていない」「認めていない」といった認識の違いから問題が生じることもあります。円滑に利用するためには、共有者間で一定のルールを共有しておくことが大切です。
共有持分の私道に関するトラブル事例

共有私道では、共有者同士の意見がまとまらず、手続きや管理が滞るケースがあります。ここでは、実際によくあるトラブル事例を紹介します。どのようなトラブルが起こりやすいかを事前に把握しておき、適切な対策を講じましょう。
掘削工事の承諾が得られない
水道管やガス管の引き込み工事などで私道を掘削する場合、状況によっては共有者の承諾が必要になることがあります。
しかし、共有者が工事に反対したり、連絡が取れなかったりすると、工事が予定どおり進まないケースがあります。その結果、建築やリフォームのスケジュールに影響が出ることも少なくありません。
固定資産税や修繕費の負担で揉める
私道を適切に維持・管理するためには、修繕費が発生します。また、条件によっては固定資産税を支払わなければいけません。このような費用を、誰がどのように負担するかが決まっていないと、共有者同士で意見が対立することがあります。
舗装や補修工事が進まない
私道の舗装が傷んでいても、工事の実施について共有者の意見がまとまらず、補修が進まないケースは多いです。道路の状態が悪化すると、通行しづらくなるだけでなく、安全面へ影響が出てしまうかもしれません。結果として、大きなトラブルにも発展しかねない事案といえるでしょう。
共有者の所在がわからず手続きが進まない
相続によって共有者が増えた結果、連絡先がわからない所有者がいるケースも少なくありません。必要な手続きを進めようとしても、共有者と連絡が取れず、工事や各種手続きが滞ることがあります。所有者不明の状態が長期間続くと、問題の解決がさらに難しくなる可能性があります。
実際、私道に限らず、共有者と連絡が取れない不動産では「全員の同意がないと動けない」と手続きを諦めてしまう方が少なくありません。連絡の取れない共有者がいる古家付き土地(千葉県松戸市・60代男性)のケースでは、共有物分割や弁護士への相談も検討したものの、最終的に「自分の持分だけを売却する」方法を選び、相談から約2か月で問題を前に進めることができました。私道の共有持分でも、同様に自分の持分だけで動けるケースがあります。
▶ この事例の詳細を見る:連絡の取れない共有者がいる土地の持分を約2か月で売却
※金額・期間は過去の事例であり、物件状況・権利関係・エリア等により結果は異なります。
共有持分の私道に関するトラブルの対応方法

共有私道でトラブルが起きた場合は、感情的に交渉を進めるのではなく、権利関係や過去の取り決めを整理することが重要です。問題の内容によって必要な対応は異なるため、事実確認、共有者との協議、専門家への相談という順序で対応を進めましょう。具体的な対応手順を解説します。
登記情報や過去の取り決めを確認する
まずは、登記事項証明書や公図を取得し、私道の所有者、共有持分の割合、土地の範囲を確認します。通行承諾書や掘削承諾書、管理に関する覚書などが残っている場合は、その内容も確認しましょう。
口頭で聞いていた内容と登記上の権利関係が異なるケースもあります。トラブルの原因を明確にするためにも、関係書類や共有者とのやり取り、修繕費の支払い記録などを整理しておくことが大切です。
共有者同士で話し合って合意内容を書面に残す
事実関係を確認したら、共有者同士で問題点や希望する対応について話し合います。修繕が必要な理由や工事内容、費用の見積もりなどを具体的に示すことで、相手の理解を得やすくなります。
合意できた場合は、負担する金額や工事の範囲、今後の管理方法などを書面に残しましょう。口約束だけでは、時間が経過した際や所有者が変わった際に認識の違いが生じる可能性があります。
解決が難しい場合は専門家に相談する
共有者が話し合いに応じない場合や、所在がわからない場合は、弁護士や司法書士、不動産会社などへ相談しましょう。共有物の管理や軽微な変更は、内容によって持分価格の過半数で決定できる場合がありますが、必要な同意の範囲はトラブルの内容によって異なります。
また、所在不明の共有者がいるケースでは、裁判所の手続きを利用して共有物の管理や変更を進められる可能性があります。所有者不明土地に関する制度も整備されているため、当事者だけで解決しようとせず、早めに専門家へ相談することが重要です。
共有持分の私道に面した不動産を購入する際の注意点

共有私道に面した不動産を購入する際は、建物の状態や価格だけでなく、私道の権利や利用条件も確認する必要があります。確認が不十分なまま購入すると、建て替えやライフラインの工事、売却に支障が出る可能性があるため注意しましょう。
私道の権利関係を確認する
登記事項証明書や公図を確認し、私道の所有者、共有者の人数、持分割合などを把握しましょう。売買対象に私道持分が含まれているかどうかも重要な確認事項です。私道持分がない場合でも、通行地役権などによって利用できるケースがあります。一方で、実際に道路として使っていても、法的な通行権が明確でない場合があるため、登記内容と利用実態の両方を確認することが大切です。
接道義務を満たしているか確認する
建物を建築する敷地は、原則として建築基準法上の道路に2m以上接していなければなりません。見た目が道路であっても、建築基準法上の道路に該当しないことがあるため注意が必要です。私道の種類や幅員、敷地と道路が接している長さは、自治体の建築指導課などで確認できます。旗竿地では、通路部分の幅や接道距離が基準を満たしているかも確認しましょう。
再建築できるか確認する
現在建物が建っていても、取り壊した後に同じような建物を建てられるとは限りません。接道義務を満たしていない土地は、原則として再建築ができず、増改築にも制限が生じる可能性があります。購入前には、建築確認関係の書類を確認するとともに、自治体や建築士へ再建築の可否を相談しておくと安心です。将来的に建て替える予定がなくても、再建築の可否は資産価値や売却のしやすさに影響します。
通行・掘削の承諾状況を確認する
私道を日常的に通行できるか、車両の乗り入れが認められているかを確認しましょう。また、水道管やガス管の引き込み工事で私道を掘削する際に、共有者の承諾が必要になる場合があります。通行承諾書や掘削承諾書がある場合は、対象となる土地や承諾の範囲、所有者が変わった後も効力が及ぶ内容かを確認します。書面がない場合は、購入前に売主や仲介会社を通じて承諾を得られるか確認しておくことが重要です。
共有持分の私道を売却する際の注意点

共有持分の私道が関係する不動産を売却する際は、私道の権利関係や利用条件を買主へ正確に説明することが重要です。確認不足があると、売却活動が長引いたり、契約後のトラブルにつながったりする可能性があります。
私道持分だけでも売却できる
私道の共有持分は、原則として自分の持分だけを売却できます。ほかの共有者全員から承諾を得なければ売却できないわけではありません。私道に面する宅地と一緒に売却する場合は、売買対象に私道持分を含めることを契約書へ明記しましょう。
たとえば、相続した戸建てを兄弟と共有していた50代男性(神奈川県相模原市)は、兄弟の一人が売却に同意せず数年間動けずにいましたが、自分の持分だけを売却する方法で、相談から約1か月半で解決しました。建物の老朽化で通常の仲介は難しいと言われていたものの、共有持分を専門に扱う会社が対応しています。私道持分でも、共有者の同意が得られない・通常の仲介で断られたといった場合に、同じアプローチが選択肢になります。
▶ この事例の詳細を見る:兄弟で相続した実家の持分を約1か月半で手放せた事例
※金額・期間は過去の事例であり、結果は異なります。
通行承諾書・掘削承諾書があると売却しやすい
買主は、購入後に問題なく私道を通行できるか、ライフライン工事の際に掘削できるかを重視します。そのため、通行承諾書や掘削承諾書が整っていると、買主の不安を軽減しやすいでしょう。
承諾書がある場合は、対象範囲や承諾条件、および将来の所有者にも効力が及ぶ内容かを確認しておきましょう。書面がない場合は、売却前に共有者へ相談し、取得できるか検討する必要があります。
私道持分付きの不動産は売却しにくい場合がある
共有者との関係が悪い、承諾書がない、管理方法が決まっていないといった事情がある不動産は、買主や金融機関から慎重に判断されることがあります。住宅ローンの審査や建て替えの可否に影響し、売却価格が下がるケースもあります。
売却を円滑に進めるには、登記情報や承諾書、修繕履歴などの資料を整理し、問題点を事前に把握しておくことが大切です。通常の仲介で売却しにくい場合は、共有持分や権利関係が複雑な不動産を扱う専門業者への相談も選択肢になります。
共有持分の私道を売却する流れ

共有持分の私道が関係する不動産を売却する際は、通常の不動産売却よりも事前確認が重要です。権利関係や利用状況を整理したうえで査定を依頼することで、売却条件を決めやすくなり、買主への説明もスムーズになります。共有持分の私道を売却する流れを紹介します。
1. 登記事項証明書や公図で権利関係を確認する
法務局で登記事項証明書や公図を取得し、私道の名義人や共有持分の割合を確認します。自宅の敷地と私道が別々の土地として登記されているケースもあるため、売却対象となる土地を漏れなく把握しましょう。
相続登記や住所変更登記が済んでいない場合は、そのままでは売却手続きを進められないことがあります。登記内容と現在の状況が一致しているかも確認が必要です。
2. 通行・掘削・管理状況を確認する
次に、私道をどのような条件で利用しているかを確認します。通行承諾や掘削承諾の有無に加え、車両の乗り入れ、修繕方法、費用負担などの取り決めも明確にしておきましょう。
過去に共有者とのトラブルがあった場合や、未解決の問題が残っている場合は、不動産会社へ事前に伝えることが大切です。状況を隠して売却すると、契約後のトラブルにつながるおそれがあります。
3. 必要書類を準備する
売却に必要な書類として、登記識別情報、本人確認書類、固定資産税納税通知書、測量図などを準備します。私道に関する承諾書や覚書、管理費・修繕費の支払い記録がある場合も、まとめておくとよいでしょう。
書類が不足していると、査定や契約手続きに時間がかかることがあります。早めに確認し、紛失している書類がある場合は代替手続きについて専門家へ相談しましょう。
4. 不動産会社に査定を依頼する
書類と権利関係を整理したら、不動産会社に査定を依頼します。共有私道が関係する不動産は評価が難しいため、権利関係が複雑な物件の取り扱い実績がある会社を選ぶことが重要です。
査定時には、私道持分の有無や承諾書の状況、共有者との関係などを詳しく伝えます。複数の会社へ相談し、査定価格だけでなく、売却方法や対応方針も比較しましょう。
5. 売買契約を締結する
買主が決まったら、私道持分を含む売買条件を確認し、売買契約を締結します。契約書や重要事項説明書には、私道の権利関係、通行・掘削条件、費用負担などを明確に記載してもらいましょう。
契約後は、代金の受領と同時に所有権移転登記を行い、物件を引き渡します。私道持分を宅地と一緒に売却する場合は、私道部分の登記も確実に移転されているか確認することが大切です。
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私道の共有持分に関する問題は、法律・税務・不動産の知識が複雑に絡み合います。 「誰に相談すればいいかわからない」「処分方法に悩んでいる」という声は、後を絶ちません。
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共有持分の私道に関するよくある質問

Q. 共有持分の私道は自由に通行できますか?
共有持分を所有していれば、原則として私道を持分割合にかかわらず利用できます。私道持分を所有していない人の通行可否は、通行地役権や契約、過去の利用状況などによって異なります。
Q. 共有者の承諾なしで掘削工事はできますか?
掘削工事に必要な同意は、工事の目的や規模、私道の所有形態などによって異なります。トラブルを防ぐためにも、工事内容を事前に共有者へ説明し、可能であれば書面で合意を得ておくと安心です。
Q. 私道の固定資産税を支払うのは誰ですか?
固定資産税が課税される私道では、原則として毎年1月1日時点の所有者が納税義務を負います。共有名義の場合は、共有者が持分に応じて税金を負担するのが一般的です。
Q. 共有者が修繕費用の支払いを拒否した場合はどうすればいいですか?
まずは管理に関する規約や過去の支払い状況を確認します。法的には民法の共有物管理ルールに基づき請求が可能ですが、強引に進めると関係が悪化するため、まずは自治会や管理会社、弁護士などを通じて、専門的な観点から「修繕の必要性」を説明し、合意形成を図るのが一般的です。
共有持分の私道で悩んだら早めに専門家へ相談しよう

共有持分の私道は、通行や掘削、修繕、費用負担などを巡ってトラブルが起こりやすいです。共有持分の私道に関する問題は、個人だけで解決しようとすると共有者との関係が悪化したり、手続きが長引いたりするケースも少なくありません。私道持分の売却やトラブル対応で悩んでいる場合は、共有持分の取り扱いに詳しい不動産会社や専門家へ早めに相談しましょう。
担当者
株式会社CLOUD HOMe 代表取締役
桐生 達弘
長年不動産売買・買取・相続・共有持分・空き家まで幅広く対応。権利が複雑な物件や他社で断られた案件も、状況を整理し最適な解決策をご提案します。動かせないと思っていた不動産にも糸口は必ずあります。
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